西日本のとある自然保護の施設で、定期的に開催されている観察会に参加しました。前回に引き続き、その2です。
会のメンバーと施設内の山沿いの道をぞろぞろ歩いていると、この公園一帯を掃除している女性がすれ違いざま、「屋外の個室トイレの中に何かありますよ。ぬいぐるみみたいなものが」と教えてくれました。沸き立つメンバー。一体何があるんだろう?「ぬいぐるみ」だからきっとかわいいはず。
行ってみると、トイレの上部コーナーの箇所に三角の板が打ち付けられており、その上に何か置いてあります。みんなで望遠レンズで撮影したり双眼鏡で見てみますが、はっきりしたことが分かりません。下に下ろしてみようという話になりました。

近くにあったホウキを使ってすくい、下ろしてみました。すると、「ぬいぐるみ」の正体はコウベモグラでした。かわいそうに、死んでしまっています。そして隣には柿も。誰がこんなことをしたのでしょう?モグラが自分でここに登ることは考えにくいです。

会の先生いわく「テンあたりが、あとで食べようとここへ持ってきたのでは」とのこと。
確かに、この野外のトイレなら雨風も防げ、安全に保存しておけます。コウベモグラをメインに、柿と一緒に食べるつもりだったのかもしれません。しかし残念ながら没収されてしまいました。夜、ここに来た主が「あれ、無い!」とキョロキョロする姿を想像すると、ユーモラスでありながら、同情したい気持ちにもなります。
しかし、外傷が無いのです。一体どうして死んでしまったのか、そこをさらに質問したところ、こんな答えが返ってきました。
「もしかしたら、つかまった時点でショック死してしまったかもしれない。」
ええっ!?驚くわたしに先生は続ける。
「以前別の場所で、環境調査をしていた折、同行の人がモグラを見つけて優しくつかんだ。するとモグラは死んでしまった。その人は予想外の出来事に、つかまなければ良かったと、ずいぶん悔やんでいた」
それに対して別の先生が、ネズミでもそんな事象がある、と続けました。
…なんて繊細な生きものなのでしょう。普段地中で暮らしているモグラには、外界での恐ろしい出来事に慣れていないからなのでしょうか。心理的なことが原因で命を落とすなんて驚きです。
ところで、モグラってもっと大きいイメージがありましたが、意外と小さいものです。そしてその毛並みはビロードのようでもあり、ふわふわでとても素敵。しかしモグラは細菌が多いので、触ることは厳禁なのでした…。頭の中でモグラに頬擦りするところを妄想するのみです。
土を掘って生活するモグラだけあって、しっかりした爪を持った手をご覧ください。
