市民学習講座「昆虫写真家 栗林慧×難波由城雄 アリ爺とクモ爺の小さい生き物撮影談議」を聴講しました

市民学習講座「昆虫写真家 栗林慧×難波由城雄 アリ爺とクモ爺の小さい生き物撮影談議」を聴講しました

岡山県新見市でおこなわれた市民学習講座「昆虫写真家 栗林慧×難波由城雄 アリ爺とクモ爺の小さい生き物撮影談議」に参加しました。
※ちなみにクモは昆虫ではないのでご注意

栗林慧×難波由城雄 講演会の概要

日時:2026年5月17日(土) 14時
場所:哲多総合センター(新見市哲多町)

栗林慧さんプロフィール(アリ爺):
日本で最初の昆虫写真家。独自開発の「虫の目レンズ」「KURIVISION」など、超深度接写を可能にする撮影装置を自作し、昆虫の生態を迫力ある視点で記録する。『草間の宇宙』で第41回科学技術映像祭内閣総理大臣賞を受賞。
著書に『金螢-煌きの里哲多町-』(哲多町教育委員会)があり、この地域と縁があります。

難波由城雄さんプロフィール(クモ爺):
新見市出身。後楽園を40年以上撮り続ける風景写真家であり、昆虫の生態写真でも知られています。ジョロウグモの産卵を観察した経験から写真家を志す。 作品は国内外で展示され、マルセン文化賞(2013)、山陽新聞賞(2015)など受賞。

緑豊かな新見市の一角にある会場にて講演会はおこなわれました。
最初に難波さんの写真を紹介、そのあと栗林さんの写真の紹介がされました。写真ごとにご本人による解説を聞け、どのように撮影されたのかの裏話や生態について知ることができました。

次にお二人が取り組まれている動画を上映。
最後は、予定時間の16時を越えていましたが、ご厚意により質疑応答の時間をいただきました。

ジョロウグモの母性に感動…難波由城雄さん

難波さんの動画はジョロウグモの一生を追ったものでした。成体のオスが命がけでメスに交接を挑むところなど、カマキリとそっくりで驚きました。

四季折々の美しい風景を挟みながら、詩情豊かに時はうつろい、冬が来ます。

ジョロウグモのメスは卵を木の表面に産みつけます。そして、フワフワのワタ状の糸をさらに上に乗せて、カモフラージュします。さらに、木の皮を丁寧にペリペリと削り取って、ワタの上に散りばめていきます。
そしてついに母グモは絶命し、自らの糸に一本の足を絡められ卵の前をぶら下がっていたのでした…。

小さな生きものの中にも人間と変わらない一生があるのだと、改めて気付かされる動画でした。

こちらで当時のニュースが見られます。その中で今回の動画の一場面が流れます。
RSKニュース

常に小さな生きものの目線を意識…栗林彗さん

栗林さんの動画は虫の視点で撮った動画。いつも見ている蝶がかなりの大きさで見れます。新鮮な視点で楽しめました。

写真も虫の目レンズで虫の立場から撮影されていた栗林さん。動画になってもその姿勢は変わらないんですね。

なんといっても、わたしの好きなアマガエルがお腹を膨らませてゲコゲコやっている様子が大きく映し出され、本当にかわいかったです。

今回流れた栗林さんのYouTube動画はこちら
虫の目紀行2

【質疑応答】巨匠二人が答えた、参加者からの質問

昆虫に心があるとは感じますか?

お二人とも「心を感じることはある」とのこと。
栗林さん「虫それぞれに個性があるから、撮影に同意してくれる虫もいる。
一方で、犬猫と違って虫などにいくらエサを与えても、なつくことはない寂しさはある。」

この栗林さんのお言葉は非常に同意ですね。オタマジャクシとかヤゴは、一生懸命世話をしても、まずなつくことはありませんから…飼いながらよくそんなことを考えました。

次に、自然保護センターでいつもお世話になっている昆虫博士Mさんが質問。

老眼などの衰えにはどう対処されていますか?

難波さん「もともと片目は網膜剥離で見えていないんです。それに加えて白内障があるから困っています。メガネなどを使うことで対処しています」

栗林さん「細かい虫が見えなくなって、若い頃のようにはいきません。それに加えて耳も遠くなっている。マイクを使って虫の声を探す方法を取っています。これがなかなか有効でね(笑)」

あんな精巧な写真を取っている難波さんの目がまさか、そんなことになっているとは…。難波さんはサラッと話していましたが、衝撃的でした。

なぜならわたしも緑内障により、片目が半分ほど見えていません。それが暗澹たる気持ちにさせていましたが、まったく見えていない難波さんがあれほどの作品を撮れるなら、気にせず生きていこうという学びとなりました。

栗林さんは普段補聴器を使われているそうですが、この日は取り付けができず、質問内容が実はハッキリ聞こえなかったそうです。難波さんの返答を聞いて、質問を推察して答えていたとのこと。(すごいですね)

最後の質問は、わたしがひねり出しました。

次に取り組みたいテーマはありますか?

難波さん「ササグモをテーマに取り組んでいます。もう後少しのシーンが撮れれば完成になるんですけど。映画監督と知り合ったので、映画のような見せ方ができるかもしれません」

栗林さん「新しいタイプのレンズを試作中です。手頃な値段で買える中国製のものなどを使って。すぐ壊れるのもあり、当たり外れがあるのでそれもまた面白い。もうすぐ米寿ですが、まだまだやります」

難波さんは現在78歳です。お二人とも、まったく年齢を感じさせないチャレンジっぷりです。まるで若者のような発言ではありませんか?

栗林さんは、この試作中のカメラのことを結構丁寧に説明してくれました。二人ともが、ここだけの話と言った部分も含めて話してくださいました。(それについてはここに書いていません)

写真好き・自然好きなら絶対に触れるべき世界

今って、カメラがかなり発達したので、カメラ任せで撮れるシーンは増えました。カメラが性能がよければいいほど、いいものが撮れる可能性は上がる世界です。

しかし、お二人が撮っているものは、決してカメラ任せにはしない「独自の視点」。こればかりは、人間しか編み出せないものなのです。

皮肉にも、高性能のカメラがなかった時代から撮っているお二人が、現代をしていまだ通用する視点を持っていらっしゃるということですね。

☆栗林さんのクモ本

¥1,650 (2026/05/19 17:02時点 | Amazon調べ)
\楽天ポイント4倍セール!/
楽天市場

☆難波さんの職場でもあった後楽園を撮影した写真集です。外国でも写真展が開催されました。

¥2,509 (2026/05/19 16:59時点 | Amazon調べ)

その他の生きものカテゴリの最新記事